父は絶対的な存在だったことから、イメージは「星一徹」。
普段は優しいが時には厳しくなる時もあり、そのオンとオフがはっきりしていたという。
幼い頃から礼儀を重んじることを徹底的に教え込まれ、今では飲食店で運ばれる焼き鳥1本でも「ありがとうございます」とつい口にしてしまうほど。
また、食卓では「父が金目鯛で母と子どもたちが煮干しやししゃも」のように差が付けられ、
「家族を養っているのは父。その父が良い物を食べるのは当たり前」であることを学んだ。
父の現役時代、5人兄妹の中でたびたび行われていたのが「きょうだい会議」。
父が登板した試合で負けると、子どもたちは「どうやったら次のローテーションに気持ち良く臨めるか」を協議し、阿須加が中心となって「ご飯ができるまで一緒にテレビを見る」「お茶を届ける」などの役割を分担した。
父が帰宅した際には兄妹そろって「おかえりなさい」と出迎えるが、たとえ負けた日でも父の機嫌が悪かったことは1度もなかったという。
これら家族の方針を決めていたのは母と推測する阿須加。
母の判断のもと、父の負けが続くと運気が良い場所を探して、都内で5~6回ほど引っ越した。
時には転校することもあったが、工藤家にとってはそれが日常。伝説の左腕の陰には、このような家族の支えがあった。
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