「これは何も打者に限った話ではなく、投手も一緒だ」と野村さんは続ける。
「どこに投げるのか、コースをまったく考えずに、ただ単にストレートを気持ちよく投げているだけでは、試合では通用しない。プロの打者は140キロ台中盤くらいの真っすぐな球なら容易にはじき返すだけの力を持っている。それだけに何も考えずに投球練習をしていたって、まったく実にならない」
だが、同じストレートを投げるのでも、外角低めの制球を磨いているのだとしたら、話は大きく変わってくるという。
「私の持論で、『困ったときには原点』という言葉があるのだが、これは打者への配球の策が尽きたと思われたとき、外角低めへコントロールよくストレートが放れたら、打ち取る確率が高くなるという意味だ。どんな好打者でも、打席から一番遠い外角低めにズバッとコントロールよく決められたら、そうは打てるものではない。それを磨くための練習に取り組んでいたのだとしたら、それは大いに意味のあることだ」
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