15世紀ごろヨーロッパで魔女狩りが盛んだった頃から、縁起が悪いと言われるようになりはじめました。
黒猫は魔女の使い魔だと思われていたためです。
黒猫は魔女と人間の言葉で会話し、赤ん坊の魂を食べ(当時、中世ヨーロッパでは病気などで死亡する赤ん坊が多かったことから)、老婆に化けて善良な人を甘言で惑わせると信じられていました。
なぜ黒猫なのかといえば、当時魔女狩りの標的にされやすかった一人暮らしの老婆は、寂しさを紛らわすためにネコを飼っていることが多かったからだと言われています。また黒は魔女の羽織るマントの色とも通じ、闇夜に目だけが光る不気味さからも、魔女の手先=よくない物といわれるようになったのでしょう。
日本の「黒猫に前を横切られると不吉」という迷信も、中世のヨーロッパにそのルーツがあります。
ある村に住む父親と息子が夕方家路に急ぐ途中、突然息子の前を何か黒いものが横切りました。
驚いた息子が石を拾って投げつけると、その石は黒いものに命中し、黒いものは驚いてある一軒の家に逃げ込んで行きました。
その家は村の人たちとはあまり仲のよくない、魔女と恐れられている老婆が暮らす家でした。
老婆の家の窓から、1匹の黒猫が親子を見つめています。黒猫は右顔面を怪我しており、親子はさっきの黒いものが黒猫だったことを知ります。
次の日、その家に住む老婆は顔を怪我していました。
その後親子は次々と不幸な目にあい、最終的には崖から落ちて死んでしまいます。
村の人たちは老婆(魔女)が黒猫に化けて村を回っていたのだが、人間に戻るところ(家に逃げ込むところ)を目撃されてしまったから呪いにかかってしまったのだと噂しましたとさ。
で、この親子の目の前を横切って黒猫が家に帰っていったことから、黒猫が目の前を横切ると不運って伝承になったみたいですね。(他にも「黒猫はあの世とこの世の境に生きる生物だから、黒猫が目の前を横切るとその奥はあの世に繋がってしまう」という説があります。黒猫は魔女に魂を届けるために誰かが死にかけるとその枕元に座り込んで死ぬのを待つという言い伝えが「黒猫=あの世の境に生きる」と変わっていったのだと思われます)
でもスコットランドでは逆に「黒猫が目の前を横切ると幸運の印」といわれているんですよね。他にも黒猫=幸運という考え方は日本にも古くからあります(黒い招き猫は厄を払う・肺病の患者の傍に黒猫を置くと病気が治る(江戸時代の俗信)など)
なので一概に「黒猫=縁起が悪い」とは言えないんですけどね。
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