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ジミー大西さんが大成した裏には…切ない初恋のエピソードがあった。

2017/02/21 UPDATE
 
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小学校三年の時でした。

小学校の二年生まで、僕は友達にも父母にも、まったく口をきかない少年でした。

話が、できない少年でした。

そんな僕が、話をできる相手が一人だけいました。

その女の子がしゃべりかけてくると、その時だけは、しゃべれるのです。

その子が、初恋の人でした。

僕はその女の子としか、しゃべれなかったのです。

ほかの子がしゃべりかけてきても、まったくしゃべれなかったのです。

僕はその子としか、遊ぶことができませんでした。

その子はみんなと仲よく遊んだり、しゃべったりしていたけれど。

僕はいつも、ひとりぼっちでした。

みんなの輪の中には、入れなかったのです。

輪の中に入ろうとも思いませんでした。

でも、みんなで、花いちもんめをする時だけは別でした。

その初恋の子が、僕の手をひっぱって、輪の中に入れてくれたからです。

終わりはいつもいっしょでした。

僕一人だけ残って、

「花いちもんめ、まきさんがほしい」

と、その子の名を言う。

「花いちもんめ、大西君はいらない」

それで終わりでした。

でも、まきさんは、

「花いちもんめ、大西君がほしい」

と、僕の国語のノートに書いてくれていたのです。

僕はそれからずーっと、まきさんのことが好きで好きでたまらなくなり、えんそくの時でも、まきさんのそばから離れなくなりました。

ほかの子からは、

「大西君、女の子どうしでごはん食べているから、むこうに行って食べて」

と言われても、ぜったいにまきさんのそばから離れませんでした。

それから、朝のちょうれいの時でも、本当は背の低い僕は前から二番目に立っていなくてはいけないのですが、真ん中のほうへ行って、まきさんのよこに立っていました。

みんなから、

「大西、いつからそんなに背が高くなってん」

と、背中とかつねられても、その場所から離れませんでした。

先生にもおこられましたが、次のちょうれいの時には、また、まきさんのよこに立っていました。

僕は本当に、まきさんのことが好きだったのです。

そして、長い夏休みに入りました。

その夏休み、僕は何回か、まきさんの家をたずねました。

でも、いつもみんな出かけていて、だれもいませんでした。

たまにおばちゃんが出てきて、

「いなかに帰っているの」

と言ってくれるだけで、まきさんとは夏休み中、会えなかったのです。

いよいよ夏休みも終わり新学期が始まる日、僕は母のけしょう水をふくにつけて学校へ行きました。

まきさんと会える、と思ったからです。

でも、まきさんは学校に来ていませんでした。

僕は、「明日は会える」「明日は会える」と思って、母のけしょう水をふくにつけて、学校へ行きました。

でも、まきさんは来ませんでした。

夏休みは終わったのに、まきさんは学校には来ませんでした。
 



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