昔、和食屋でバイトをしていた。不注意傾向の強い僕は、ミスがあまりに多く、店長は僕にクビを通告する予定だったらしい。
そんな僕を拾ってくれたのが当時の料理長。
料理長は僕のために、あらゆる配慮を普通にしてくれた。
揚げ物にはキッチンタイマー、揚げる材料にはチェックリスト・・続く
昔、和食屋でバイトをしていた。不注意傾向の強い僕は、ミスがあまりに多く、店長は僕にクビを通告する予定だったらしい。
そんな僕を拾ってくれたのが当時の料理長。
料理長は僕のために、あらゆる配慮を普通にしてくれた。
揚げ物にはキッチンタイマー、揚げる材料にはチェックリスト・・続く
付け合わせは、順番に入れさえすれば、ミスがない様にしてくれた。
ここまで配慮してもらえれば、さすがに働くことができた。そして、料理長が僕にくれたニックネームが「副料理長」。
そして、料理長は店長にこう言った。
「こいつは真面目やから、工夫さえすれば使えるんや。」・・続く
今から思えば「副料理長」というニックネームや「真面目」を強調するプロセスは、強みを活かすという障害支援の基礎に他ならなかった。そして「工夫さえすれば」は合理的配慮そのもの。
ただ、料理長は厳しかった。サボったら、全力で叱られた。それは、強みを殺すなというメッセージだった。・・続く
以降、全力で働いた。時間のある時は従業員と話したり休憩したりするのではなく、ひたすら店の掃除をした。
そんな姿を料理長は見ていた。態度では分からなかったが、僕がいるときは、賄いが美味しいという噂もあった。
ある日、そんな料理長を尊敬し「料理の世界に入りたい」と言った。・・続く。
一緒に働けると信じていた。しかし、料理長には断られた。
「お前は、障害のある子供達とオモロいことしたいって言ってたやろ。だから、お前は研究者になれ。俺アホやから、よー分からんけど、お前のそういうところ、俺は尊敬してるんやから、裏切るな。」
そして、僕は大学の准教授になった。・続く
現在は障害支援や合理的配慮の研究に携わっている。
今から思えば、料理長の指導が今でも基本にある。
勿論、料理長は障害支援を何も知らない。ただ僕のことをひたすら見てくれた。僕を活かそうとしてくれた。
そう、これが障害支援の基本なのだ。
あれから15年。ゼミ生と料理長の店に行った。続く
「よぉ。久しぶり。」
店に入ると、ゼミ生無視で(ごめん)、15年前に戻った。
帰り際、ゼミ生はこう言った。
「料理長、先生と全く一緒ですね。」
料理長に近づけたかは分からないけど、なんか嬉しかった。
今度は自分が育てる番。ゼミ生は来週巣立つ。
卒業式はできないけど、卒業おめでとう。
@ogatti21 @TanakaShinsyu 今日のどこかの国のエライさんの「ご卒業おめでとうございます」よりも、数百倍、いや数千倍、数万倍も心のこもった素晴らしい「卒業おめでとう」でした‼️
TMINAMI17 フォローする 2020-03-14 20:35:34@ogatti21 泣けます。「使えない」とは、使う側の能力がない無責任なセリフだと誰か言ってましたが、使えるようにするのは人次第。料理長のようにありたいものです。
toncacci フォローする 2020-03-14 21:21:24@ogatti21 @mu0283 素敵な話でした。支援とは、ただ相手を活かすことだ。
「卒業おめでとう」と言えるのは、こんな風に自分の道に人生をかけている人だと思う。誤魔化しばかりしている夕方会見した彼ではなく…。
先生!これからも頑張ってください。
@ogatti21 諦めるのではなく、どうしたらうまくいくか考える。
これを実行した料理長は素晴らしいですね。
これが型化されていたら、
恐らく、おがっちさんの後に入ったバイトの方も、
おがっちさんのおかげで仕事をおぼえやすかったと
思います。
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