三年前に親父が死んだんだけど、ほとんど遺産を整理し終えた後に親父が大事にしていた金庫があったんだよ。
うちは三人兄弟なんだけど、おふくろも死んじゃってて誰もその金庫の中身を知らなくてさ。
とりあえず兄弟家族みんな呼んで、その金庫をあけることにしたんだけど、これがまた頑丈でなかなか開かないんだよ。
仕方ないから鍵屋を呼んで開けてもらうことにしたんだけど、なかなか開かなくてさ。
なんとなく俺たちは子供の頃の話を始めたんだよ。
親父は昔からすごい厳格で、子供の前で笑ったことも一度もなくて、旅行なんてほんとにいかなかった。
子育てもお袋に任せっきりで餓鬼の頃はマジで親父に殺意を覚えたよ。
んで、一番下の弟が、そういうわけだからしこたま溜め込んでるんじゃねえか?
みたいなことを言い出して、その後に真中の弟も親父が夜中に金庫の前でニヤニヤしながらガサガサやってんのを見た。
とかいったから俺もかなり金庫の中身に期待を抱いちゃったんだ。
んで、そのときに鍵屋がちょうど「カギ、開きましたよ」といったから、ワクワクしながら金庫の前に行き、長男の俺が金庫のドアを開けたんだ。
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