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「天国のあなたへ」日本一心のこもった恋文。宇宙船に乗ってあなたのおそばへ・・・。

2017/02/21 UPDATE
 
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娘を背に日の丸の小旗を振ってあなたを見送ってからもう半世紀がすぎてしまいました。

たくましいあなたの腕に抱かれたのはほんのつかの間でした。

三十二歳で英霊となって天国に行ってしまったあなたは今どうしていますか。

私も宇宙船に乗ってあなたのおそばに行きたい。

あなたは三十二歳の青年、私は傘寿を迎えている年です。

おそばに行った時おまえはどこの人だなんて言わないでね。

よく来たと言ってあの頃のように寄り添って座らせてくださいね。

お逢いしたら娘夫婦のこと孫のことまたすぎし日のあれこれを話し思いきり甘えてみたい。

あなたは優しくそうかそうかとうなずきながら慰め、よくがんばったとほめてくださいね。

そしてそちらの「きみまち坂」につれていってもらいたい。

春のあでやかな桜花、夏なまめかしい新緑、秋ようえんなもみじ、冬清らかな雪模様など、四季のうつろいの中を二人手をつないで歩いてみたい。

私はお別れしてからずっとあなたを思いつづけ愛情を支えにして生きてまいりました。

もう一度あなたの腕に抱かれてねむりたいものです。

力いっぱい抱き締めて絶対はなさないで下さいね。

柳原タケ


どうですか?

とても愛らしく、それでいて、その背景を知るだけに涙がこぼれてきませんか。

時代を経ても色あせない心…。

それは好きな人を想う女心でしょうか。

時を重ね、自分も間もなくそちらへ旅立とうとしている女心は、

死への恐怖などなく、愛する人と再会できる喜びさえ感じます。
 
 
タケさんは96歳で天寿を全うしました。

宇宙船に乗って愛する夫の元へ旅立ちました。

きっと今頃、天国のご主人と「きみさか町」で手をつなぎ、

四季折々の公園デートを楽しんでいるのでしょうか?
 



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