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母に伝えられなかった「ありがとう」という言葉…

2017/02/21 UPDATE
 
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僕が3歳のとき、父が亡くなり、

その後は、母が女手ひとつで僕を育ててくれた。
 
 
仕事から帰ってきた母は、疲れた顔も見せずに晩ご飯をつくり、

食事の後は、内職をしていた。
 

毎晩遅くまでやっていた。

母が頑張ってくれていることは、よく分かっていた。
 
 
だけど、僕には不満もいっぱいあった。
 
 
僕が学校から帰ってきても、家には誰もいない。
 
 
夜は夜で、母は遅くまで内職。
 
 
そんなに働いているのに、わが家は少しも裕福じゃなかった。
 
 
遊園地にも連れて行ってもらえない。
 
 
ゲームセンターで遊ぶだけの小遣いももらえない。
 
 
テレビが壊れたときも、半年間、買ってもらえなかった。
 
 
僕はいつしか母にきつく当たるようになった。
 
 
「おい」とか「うるせー」とか、生意気な言葉を吐いた。
 
 
「ばばあ」と呼んだこともあった。
 
 
それでも母は、こんな僕のために、頑張って働いてくれた。
 
 
そして、僕にはいつも優しかった。
 
 
小学校6年のとき、初めて運動会に来てくれた。
 
 
運動神経が鈍い僕は、かけっこでビリだった。
 
 
悔しかった。
 
 
家に帰って母はこう言った。

  
「かけっこの順番なんて

 気にしなくていいよ。

 おまえは素晴らしいんだから」
 
 
だけど、僕の悔しさは、ちっともおさまらなかった。
 
 
僕は学校の勉強も苦手だった。
 
 
成績も最悪。
 
 
自分でも劣等感を感じていた。
 
 
だけど、母はテストの点や、通知表を見るたびに、やっぱりこう言った。
 
 
「大丈夫、おまえは素晴らしいんだから」
 
 
僕には何の説得力も感じられなかった。
 
 
母に食ってかかったこともあった。
 
 
「何が素晴らしいんだよ!?

 どうせ俺はダメな人間だよ」
 
 
それでも母は自信満々の笑顔で言った。
 

「いつしか分かる時がくるよ。

 おまえは素晴らしいんだから」
 



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