夜勤で、「なんか、いつもと違うんです」という妊婦さんから電話が来た。「赤ちゃんは動いてます。動いてるんだけど、何かが違うんです」と。
なんとなく不安ですぐに来てもらった。妊婦さんは「こんな時間にすみません、何ともないかもしれないのに」と、申し訳なさそうに言った。
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夜勤で、「なんか、いつもと違うんです」という妊婦さんから電話が来た。「赤ちゃんは動いてます。動いてるんだけど、何かが違うんです」と。
なんとなく不安ですぐに来てもらった。妊婦さんは「こんな時間にすみません、何ともないかもしれないのに」と、申し訳なさそうに言った。
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すぐにNSTをつけ、確かに赤ちゃんは動いていた。動いたよ!のサインも出してくれた。今まで、いろんな経験をしてきたけど、そこに当てはまるような、異常を教えてくれる児心音はない。でも、赤ちゃん動いてますね!の声にも、お母さんの不安そうな顔は変わらないことがすごく気になった。
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当直の先生にこっそりと、お母さんの不安と私の不安をそれぞれ伝えた。明確な正常からの逸脱のアセスメントでも報告でもなんでもなくて、しかも出張医の先生だったので、このニュアンスが伝わるかなってそれも不安だったけど、先生はすぐにエコーをしてくれた。
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「元気そうだけど....もしかしたら羊水混濁があるかな?」と、羊水の輝度を見て言った。そのあたりから、少しずつ、児心音に、元気だよ!のサインが減り始め、平なモニターになり、次第に下がり始めた。
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そのまま、臨時帝王切開でお産となった。赤ちゃんは重症新生児仮死(アプガースコア1点)。早急に蘇生でき、幸い、今、元気に過ごしてくれている。
あの時、赤ちゃんを救ったのは、助産師でも、産婦人科医でもなく、紛れもなく、受診してくれたお母さんだったと思う。
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振り返っても、とても胸が痛くなるし怖い。
1番怖いのは、お母さんが謝りながら、遠慮しながら電話して、申し訳なさそうに来院したこと。
診察の時以外、赤ちゃんのことを感じられるのはお母さんだから、お母さんは我慢しちゃいけない、私たちは我慢させてしまう環境にしちゃいけないと思う。
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破水かもしれないと思って検査したら破水じゃなかった。それなら、また健診で元気に会おうね!また産みに来た時にね!でいい。
赤ちゃんが動いてないかもしれないと思って病院に行ったけど、何ともなかった。それはとっても嬉しいこと。
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産科は、私たちがいつも言う、「不安な時は、いつでも相談してね」が、お母さんたちに、遠慮なくそのままの言葉で受け取ってもらえる存在でなければならない、と強く思います。
お母さん、受診は悪いことではありません。
最後まで読んで頂けて嬉しいです?
幸せママが増えますように。
※患者様のプライバシー保護のため、一部フィクションと、曖昧な表現を使わせて頂きました。
@GRkwKaDJauYsFWv やはり、自分の身体は自分自身が1番よくわかるんですね。色んな情報に振り回されないで自分の声を聞くことがすごく大切だと感じさせられました。なかなかひとは信じてくれないかもしれないけど、良い助産師さんに出会えて良かった。
MaxrickyRespect フォローする 2021-01-16 21:15:15@GRkwKaDJauYsFWv すごい話ですね。お母さんはそこまで敏感に感じ取れるのですね。そしてみんながうまい具合に動けたのもすごいですね。
kruchoro フォローする 2021-01-16 15:48:07@GRkwKaDJauYsFWv ただただありがとうございます?お母さんも、あなたも、そして医師も、そしてなんとかお母さんに伝え、頑張ってくれた赤ちゃんに、ただただ尊敬と感謝を。大切な命が助かった。本当によかったです。
tsukiyosakurano フォローする 2021-01-16 22:18:26@GRkwKaDJauYsFWv @tempest8813 すごくすごい、やばい涙でる、良い話だ
幸運が重なったのかな
助産師や看護師や医師が職業である以上
かんたんには行かないの分かった上で
これが普通のことになって欲しいと思う
いや思いたい
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