俺が29歳のときに、母親は死んだ。54歳だった。意識を失う前の日の夜に、もう足もおぼつかない母の手を取って、トイレの前まで連れて行った。終わったら二人で手を握って洗面所まで連れて行って、歯磨きをさせ、ベッドに寝かせた。昔、母が俺にしてくれたことを、自分の母にしていた。
erizomu フォローする 2020-03-15 02:28:04俺が29歳のときに、母親は死んだ。54歳だった。意識を失う前の日の夜に、もう足もおぼつかない母の手を取って、トイレの前まで連れて行った。終わったら二人で手を握って洗面所まで連れて行って、歯磨きをさせ、ベッドに寝かせた。昔、母が俺にしてくれたことを、自分の母にしていた。
erizomu フォローする 2020-03-15 02:28:04俺の人生は、母親が俺を産んだ意味は、あの夜にあったのではないかと、時々思う。意識を失う前、曖昧な中で、母は俺に「おやすみ」といって寝た。幼いころ、なんども、そういって、俺を寝かしていた。俺が、母親が最後に話をした人間になった。
erizomu フォローする 2020-03-15 02:35:35自分と最期に「おやすみ」という人間を、産んで、育てた。思うようにはいかなかった。苦しかったことを、俺は知っている。俺が、苦しみを与えていたことを、俺は知っている。俺は母親に、喜びよりも、苦しみを与えたことの方が多いことを、俺は知っている。それは、誤魔化せない。
erizomu フォローする 2020-03-15 03:09:32もし俺が、23歳の母親に会えたら、結婚すること、子どもを産むことも勧めない。後年になれば、別の人生のほうが向いていたことを、俺も、母親も父親も知っていた。しかし23歳の母はそれを知る由もなかった。「結婚をして、子どもを産む以外の人生があるなんて知らなかった」と話したのは50歳の頃か。
erizomu フォローする 2020-03-15 03:09:43母親は俺か弟を産むときに出血して、ウイルスに感染した。肝炎には気づかず、気づいたら余命が決まっていた。悪かったよ、俺たちが死なせた。まぎれもなく、俺が死なせた。
erizomu フォローする 2020-03-15 03:10:03死ぬ2週間前に家で倒れて、ホスピスに入った。肝性脳症は進んでいて、もう少し曖昧だったが、俺が病室に入ると先に駆けつけていた弟と俺を手招きして、両手で抱いて「産んでよかった」と言った。果たして自然に産んでよかった思っている人間が、そういうことをするのか、俺にはわからないままだ。
erizomu フォローする 2020-03-15 10:45:49娘が産まれて、どうやらあれは俺と弟に「産んでよかったと考えている」と、伝えたかったのではないかと思う。本当のところ母親がどう考えていたのかはわからない。しかし少なくとも、俺にはそう思って貰いたかったのだろう。
erizomu フォローする 2020-03-15 10:51:12@erizomu お母様が亡くなったのはえりぞさんのせいじゃないです。たまたまいたウイルスのせいです。優しいお子さんに育ってて、親孝行だと思いました。
お悔やみ申し上げます。えりぞさんもご自愛ください。
@erizomu 私の母も、同じく私を産んだ時に止血剤でウイルスに感染し肝炎になりました。
母は生きていますが、私を産んだせいで病気になり、ずっと罪悪感を感じていました。
子の母になった今、病気くらいで子供を責めたりしないと分かる。えりぞさんのお母様はとても幸せな人生でしたね。
@erizomu そのように悩んだり、気持ちを文字にしたり、亡きお母さんのことを思い出したりしながら折り合いをつけて生きていく姿は見習いたいものです。お母さんに素敵なお子さんですねと、どこの誰とも知れぬ者が言っていたことをあなたの心を通してお伝えしていただきたいです。
pagu261127 フォローする 2020-03-16 00:16:06
あなたのせいじゃないですよ。私も例え病気になろうと知っていても子供を産むと思う。それだけ母親にとって子供は自分の命より愛おしいものなんですから。