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わたしの心の主治医から言われたこと。「人生は死ぬか、精一杯生きるかだよ 」

感動(1166)
2017/02/21 UPDATE
 
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  • 主人がくも膜下出血を発症し
    意識不明の状態で救急病院に搬送されたのは
    12年前のことだった。

    病状がひとまず安定して
    一般の総合病院へ転院したものの
    意識が戻るわけでもない。

    主人が徐々に衰弱していくのに伴い
    私の希望の灯も消し去られようとしていた。

    私は時折、病棟の一角にある
    談話室に身を寄せ
    患者たちの談笑に耳を傾けていた。

    病室で主人と無言の時間を
    長く過ごす私にとって
    声と声の触れ合いは新鮮な風となり
    聴覚を優しく刺激してくれるからだ。

    談笑の輪から少し離れた窓際の席には
    有名大学の入試問題集を片手に
    勉強に励む青年がいた。

    その前向きな姿から力をもらい
    再び病室に戻るのが私の日課だった。

    「年内はもたない」

    と言われた主人だったが
    何とか年を越すことができた。

    元日、病院に着いた私は
    主人の病院に行く前に
    談話室へ直行した。

    談話室は無人だった。

    私は窓際の席に座り
    晴れ渡った空を仰いで
    心に立ち込めた暗雲を
    必死で消し去ろうとしていた。

    ふと気づくと、いつもこの席で
    勉強している青年が立っていた。

    席を譲ろうとした私に
    青年は「いいですよ」と
    幼さの残る笑みを浮かべ
    別の席に座った。

    「お正月まで受験勉強、偉いね」

    と声をかけると、彼は

    「頭が悪いからね」

    と冗談交じりに答えた。

    聞けば、まだ高校二年生だが
    入退院が多いため
    受験勉強を始めているという。

    家が元旦から商売をしているので
    外泊をしなかったそうだ。

    誰の見舞いかと聞かれ
    私は主人の病状を話した。

    「年を越せるとは思ってなかったの」

    とため息交じりに呟くと
    青年は急に表情を曇らせた。

    そして

    「本人が必死で生きようとしているのに
     家族があきらめてどうするの」

    と厳しい口調で言った。

    意表を突かれた私は動揺を隠せず
    それを見た青年はあわてて
    謝罪の言葉を述べた。

    その後に続く青年の言葉は
    さらに私の胸の深いところに刺さった。



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